サムリ・ナーマンカ氏デザインの船場センタービル
GRAPHIC CONCRETE
2023.05.11
「Graphic Concrete・グラフィックコンクリート」とは凝結遅延剤を用いた洗い出し技術により、コンクリートをキャンバスのように使えるフィンランド生まれの新しいデザインツールです。
今回はそのグラフィックコンクリートのパターンを上手くデザインし、地域の歴史やストーリーを語り継ぎ、人々に愛されるビルに生まれ変わった船場センタービルの実績をご紹介します。
デザイナー サムリ・ナーマンカ氏
サムリ・ナーマンカ氏はグラフィックコンクリートの生みの親でもあり、デザイナーでもあります。
1996年、当時ヘルシンキ大学でアート&デザインを専攻していたサムリ・ナーマンカ氏は、建築材料としてのコンクリートの新しい見せ方を研究する履修科目のケーススタディでファサードデザインに取り組んでいました。
グラフィックコンクリートはコンクリートファサードを工業的に有効な手法でいかに美しく見せることができるか、という視点で研究しその結果生まれた新しい仕上げです。
【船場センタービルの改修工事】
昭和45年3月に大阪府大阪市に誕生した船場センタービルは卸店・ショッピング店・飲食店・事務所などでにぎわい、商都大阪の中心部にあり交通の利便にも恵まれたこのビルは流通機構の近代化、合理化に大きく貢献してきました。
平成27年5月に老朽化に伴い、開業以来初となる外壁全面改修工事を行いました。タイル仕上げだった以前の外壁はピンネット工法により安全性を担保し、その上にファサードを被覆する方法が採用されました。
外観のイメージを一新した船場センタービルは、平成28年第36回「大阪まちなみ賞」において、「建築サイン・アート賞」を受賞しました。
【サムリ・ナーマンカ氏がデザインすることになった経緯】
グラフィックコンクリートに興味を持った設計者の方が実際にフィンランドに渡り、サムリ・ナーマンカ氏とともに実績を見て回りました。
彼の建築やグラフィックコンクリートに対する熱い思いに感銘を受け、デザインを依頼することになりました。
【デザイン着想】
船場センタービル周辺は昔から繊維業が盛んで、「繊維のまち船場」として親しまれてきました。船場センタービルにも織物問屋が数多く入っており、そのため地域になじみのある織物から、日本の小紋柄に着想を得て、船場の歴史をファサードに残すべくサムリ・ナーマンカ氏がデザインしました。
当初は計画に反対する声も少なからずあったそうです。
しかし地味で暗かった場所がファサードを変える事で明るく人が集まる活気のある、注目を集める場所になり、完成してみると反対していた人からも「良かった」との声を聞くことができました。これは単なるパターンを施すのではなく、デザイナーが介入し、船場の歴史やストーリーに寄り添ったデザインを表現したことにより実現したと感じます。
また船場センタービルはグラフィックコンクリートだけでなく、上部のパンチングメタルもサムリ・ナーマンカ氏によるデザインになっており、見る場所によってパターンや仕上げやテクスチャが違い大変面白いビルです。
金属パネルに仕込まれた照明によって昼と夜で表情がガラッと変わります。
▼こちらのコンクリート部分は塗装仕上げです
お近くにお越しの際はぜひご覧ください。
弊社では船場センタービルのようにグラフィックコンクリートを使ってコンクリートにストーリーという命を吹き込み、人々の暮らしと心に寄り添う景観作りのお手伝いをいたします。
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